この記事では海外FXスワップアービトラージのやり方を解説していきます。
スワップアービトラージの基礎知識
多額の資金が必要(目安は300万円から1,000万円)
スワップアービトラージをするには多額の資金が必要です。目安は海外FXなら300万円から1,000万円ほど。
スワップ損益で1日10万円稼ぐには、100ロットポジションを保有する必要があります。
ドル円100ロットを保有したときの必要証拠金はこちら。
取引口座レバレッジ | 必要証拠金(USDJPY/100ロット) |
---|---|
1000倍 | 10,000ドル(150万円) |
400倍 | 25,000ドル(400万円) |
200倍 | 50,000ドル(800万円) |
25倍 | 400,000ドル(6,200万円) |
レバレッジ1000倍の口座なら100ロットの必要証拠金は150万円で済みますが、レバレッジ400倍の口座だと2.5倍の400万円になってしまいます。
さらにレバレッジ25倍の国内FX口座だと必要証拠金は6,000万円とかなり高額になってしまいます。ロスカットを防ぐことを考慮に入れると、資金は1億円以上必要です。
スワップアービトラージの資本効率を高めたいなら、レバレッジの高い口座を使いましょう。(XM KIWAMI口座など)
有効証拠金が多すぎると、レバレッジを制限される
海外FXブローカーでは有効証拠金が多すぎると、取引口座のレバレッジを制限されます。
これは多額の資金で資本効率の高いトレードされると、ブローカー側の資金枯渇リスクが高くなるからです。例えば資金1,000万円で1億円を稼いだとしても、ブローカー側が資金がなければ難癖をつけられて出金拒否・利益没収になることがあります。
レバレッジ制限の具体例はこちら。
運用口座 | レバレッジ制限になる有効証拠金 | レバレッジ制限 |
---|---|---|
XM KIWAMI口座 | 40,000ドル(570万円/ドル円143円) | 1000倍→500倍 |
AXIORY ナノ口座 | 1,400万円 | 400倍→300倍 |
Tradeview Xレバレッジ口座 | 1,000万円 | 500倍→100倍 |
海外FXでスワップアービトラージをするなら、運用額は1,000万円以下にしておきましょう。それ以上になると出金拒否などのカウンターパーティーリスクの方が高くなります。
資金1,000万円以上でスワップアービトラージをするなら、国内FXブローカーを使ったほうがいいです。国内業者なら完全信託保全が義務付けられているため、出金拒否リスクは格段に低くなります。
収益目安は1日10万円ほど(100ロットの場合)
スワップアービトラージの収益目安は、100ロットポジションで1日10万円前後になります。スワップポイントの目安は1日1.0pips前後で、100ロット/1.0pipsの損益が10万円ほどになるからです。
100ロット保有したときのpips損益目安はこちら。
通貨ペア | 100ロットの1pips損益 |
---|---|
XAUUSD | 100ドル(15,000円) |
USDJPY | 635ドル(99,000円) |
EURUSD | 1,000ドル(150,000円) |
ゴールドのスワップは1日10pipsほどになるため、100ロット保有したときのスワップ損益は15万円から20万円になります。
スワップ損益を計算するならXMのスワップ計算ツールがおすすめ。マイナーFX通貨ペアにも対応しており、運用ロットあたりのスワップ損益を計算しやすくなります。
スワップフリー口座を活用すること(XM KIWAMI口座など)
スワップアービトラージをするならスワップフリー口座を活用しましょう。代表的なのはXM KIWAMI口座ですね。
XM KIWAMI口座の一部銘柄でスワップフリーに対応しており、マイナススワップ側の取引口座として使うことでスワップのコストを踏み倒すことができます。
スワップフリーの対象銘柄はこちら。
極口座スワップフリー対象銘柄一覧
USDJPY#, EURJPY#, GBPJPY#, AUDJPY#, NZDJPY#, CADJPY#, CHFJPY#, EURUSD#, GBPUSD#, AUDUSD#, NZDUSD#, USDCAD#, USDCHF#, EURGBP#, EURAUD#, EURNZD#, EURCHF#, GBPAUD#, GBPNZD#, GBPCAD#, GBPCHF#, AUDNZD#, AUDCAD#, AUDCHF#, CADCHF#, NZDCAD#, NZDCHF#, GOLD#, SILVER#
引用元
2024年6月現在だとトルコリラ・南アフリカランド・ロシアルーブルなどスワップポイントで稼ぎやすいFX通貨ペアはスワップフリー非対応になっています。
スワップフリーの対象銘柄は、XM「取引→FX取引→KIWAMI口座用」で確認できます。
ボーナス/レイテンシーアービトラージより安定して稼ぎやすい
スワップアービトラージは、ボーナスアービトラージ・レイテンシーアービトラージよりも検出されにくく、安定して稼ぎやすいです。
例えばXMで100ロット、AXIORYで反対方向に100ロット保有したとしても、どちらのブローカーからも高ロットのスイングトレードをしているようにしか見えず、アービトラージ取引と判別しにくいからです。
これがボーナスアービトラージだと不正取引扱いされやすいですし、レイテンシーアービトラージも1.0pipsの取引を超高速で繰り返すため口座凍結・利益没収などを受けやすいです。
スワップアービトラージは高額な資金(300万円から1,000万円)が必要ですが、他のアービトラージ取引よりも安定して稼ぎやすいです。
CFD銘柄は意外と穴場
スワップアービトラージで効率よく稼ぎたいなら、CFD銘柄のスワップポイントをチェックしてみましょう。FXブローカー側の設定が甘く、稼げるスワップ設定が見つかるかもしれません。
CFD銘柄とは、貴金属、株価指数、インデックス(株価指数)、コモディティ(商品)、仮想通貨などFX通貨ペア以外のレバレッジ銘柄のこと。
スワップアービトラージで稼げるFX通貨ペアは、トルコリラと南アフリカランドの2つが代表的です。ただFXブローカー側もスワップアービトラージを警戒しており、これらのFX通貨ペアではスワップを稼ぎにくくしていることが多いです。
一方CFD銘柄でスワップアービトラージをする例は少ないため、FXブローカー側も対策しておらず、プラススワップを高めにしていることがあります。例えば本来1.0pipsのスワップ差分である場面で、5.0pipsの差分を取ることができれば、スワップアービトラージの収益は5倍になります。
FXブローカーを調査する時間が十分にあるなら、スワップポイントの高いCFD銘柄を探してみましょう。
海外FXスワップアービトラージのやり方
手順1:プラススワップ側の口座で100ロットポジションを保有する
まずはプラススワップ側の口座で100ロットポジションを保有します。ここではドル円を買いポジションで100ロット保有して、1日1.0pipsのスワップ損益を稼ぐとします。
ドル円以外にもスワップポイントの高い通貨ペアがあるなら、それで代用してOKです。
なおトルコリラ・南アフリカランド・ロシアルーブルはおすすめしません。これらのFX通貨ペアはXM KIWAMI口座でスワップフリーが適用されないからです。
プラススワップ側の取引口座はAXIORY ナノ口座がおすすめ。口座レバレッジは400倍と標準的ですが、ストップアウトが20%と低く、運用ロットが大きくてもロスカットされにくいです。
ナノ口座のレバレッジは400倍なので、USDJPY100ロットの必要証拠金はおよそ400万円となります。入金額はその1.5倍から2倍の600万円から800万円を目安にしましょう。
手順2:スワップフリー口座で反対ポジションを100ロット保有する
次はスワップフリー口座で同じ通貨ペアの反対ポジションを100ロット保有します。今回のケースではドル円の売りポジションを100ロット保有します。
マイナススワップ側の口座はXM KIWAMI口座がおすすめ。スワップフリーが適用される銘柄なら、マイナススワップのコストを踏み倒せます。
XM KIWAMI口座はレバレッジが1000倍と非常に高く、ドル円100ロットの必要証拠金は150万円となります。
ただし合計口座残高が40,000ドル(620万円)を超えるとレバレッジ400倍に制限されてしまうため、入金額は30,000ドル(470万円)ほどに抑えておきましょう。
2口座で反対方向に100ロットポジションを保有すれば、スワップアービトラージの完成です。ただ突然スワップが改悪されることがあるので、1日1回は保有ポジションのスワップポイントを確認するようにしましょう。
手順3:含み益口座から含み損口座に資金移動する
スワップアービトラージを始めて1週間から1ヵ月経過したら、含み益の出てる口座から含み損の出ている口座に資金移動させます。
例えば片方の口座では資金1,000万円+含み益100万円、もう片方の口座では資金1,000万円+含み損100万円なら、含み益口座から含み損口座に100万円移します。
2口座で100ロット両建てをしていれば、どちらかの口座は大きな含み損を出すことになります。ロスカットを防ぐためにも定期的に資金移動しておきましょう。
スワップ損益の計算方法
スワップ損益を計算するなら、XMのスワップ計算ツールがおすすめ。FX通貨ペア・運用ロット・レバレッジなどを入力するだけで、日本円・ドル円換算のスワップ損益を計算できます。
使い方としては、XM公式サイトにアクセスし、「FXを学ぶ→ツール→FX計算ツール」をクリック、その次のページの「スワップ計算ツール」をクリックします。
あとは「口座の基本通貨・通貨ペア・口座タイプ・ロット数量」を入力すれば、1日のスワップ損益を計算してくれます。
ただ計算できるのはXMのスワップ損益だけで、AXIORY・Tradeviewのスワップ損益は別で計算し直す必要があります。それでもスワップ損益を大まかに把握するときには便利です。
スワップアービトラージの注意点
資本効率が悪い(資金300万円以上必要)
スワップアービトラージの最大のデメリットは、資本効率が悪いこと。レバレッジの高い海外FXでも300万円から1,000万円の資金が必要になります。
100ロットポジションを保有するのに必要は証拠金は100万円から300万円ほど。ロスカットされないようにその1.5倍から2倍の資金を入れておく必要があります。
資金100万円前後で稼ぐなら、EA自動売買の方がおすすめ。トレードを自動化しているため、1日中チャートを見る必要がなく、仕事で忙しい兼業トレーダーでも利益を出しやすいです。
運用EAはMQL5の無料EA「Grid EA Pro」がおすすめ。ロット倍率1.1倍のグリッド・マーチンゲールで、トレーリングストップやオーバーラップ機能もありリスク耐性に優れています。無料EAの中ではトップクラスの性能と言ってもいいでしょう。
カウンターパーティリスクが非常に高い
スワップアービトラージの2つ目のデメリットは、カウンターパーティーリスクが非常に高いこと。
例えば海外FXブローカーに1,000万円入金した状態で、そのブローカーが破綻してしまうと、1,000万円を丸ごと失うことになります。
EA自動売買・ボーナスアービトラージ・レイテンシーアービトラージであれば少しずつ利益出金すればいいですが、スワップアービトラージは必要証拠金が数百万円と高額で、ロスカットされないよう資金を入れたままにしておく必要があります。
スワップアービトラージをするときは、資金枯渇リスクの低い大手・中堅以上のブローカーを使いましょう。具体的にはXM・AXIORY・Tradeviewの3つが鉄板です。
Exnessも資金枯渇リスクの低い大手・中堅ブローカーではありますが、ロールオーバー直前にスワップフリーを取り消すといった嫌がらせをしてくるため優先度は低めです。
海外FXのリサーチ能力に自信があるなら、IC Markets・FXPIGなど優秀なA-bookブローカーを開拓してもいいでしょう。
派手に稼ぎすぎると、スワップフリーを取り消されることも
スワップフリー口座でスワップアービトラージをすると、スワップフリーを取り消されることがあります。
スワップアービトラージ扱いされる基準は明確に決まっておらず、運用ロットが小さくても、取引期間が1週間以内でも適用されることがあります。
スワップフリー口座のスワップフリーは、B-bookブローカーがマイナススワップを負担して成り立っているものです。ブローカーの収益が危うくなると、スワップフリー取り消しの可能性も高くなります。
スワップフリー口座はスワップアービトラージをする上で強力な武器ですが、スワップフリー取り消しのリスクがあります。いつスワップフリーを取り消されてもいいよう、他にもスワップの優秀な口座を確保しておきましょう。
銘柄のスワップを改悪されるケースもある
スワップアービトラージで稼いでいると、突然スワップを改悪されることがあります。
FXブローカーは常にトレーダーの取引を監視しており、100ロットポジションを保有するとFXブローカー側から補足されやすくなります。
基本的にB-bookブローカーは「トレーダーの利益=ブローカーの損失」となります。トレーダーが荒稼ぎするとブローカー側の資金枯渇になるリスクがあるため、美味しいスワップポイントは改悪されやすいのです。
スワップ改悪を避けたいなら、100ロット/1ポジションではなく10ロット/10ポジションに分散する、あるいは追加口座も併用して1ロット/100ポジションに分散しましょう。
100ロットポジションは悪目立ちしやすいですが、1.0ロットポジションは目立たないため、スワップポイントをこっそり稼いでも改悪されにくいです。
アービトラージ取引はトレーダーとブローカーの頭脳戦です。派手に稼ぐと取引環境を悪化させられるので、目立たずコツコツと稼ぐようにしましょう。